花屋で芍薬をよく見る季節が来た。花びらが多くて思いきり華やかに開くものと花びらが少なくておしべの多いものがあるので、お店の人に確認して、花びらの多い品種を選ぶ。
つくづくと楽しませてくれる花だと想う。強くてすぐには萎れない。花屋さんでも冷蔵庫のなかには入れられない。落ちた花びらすらも楽しませてくれる。花びらには適度な湿り気があって、さらさらというか、するするといった手触り。落ちた花びらの山を手のひらで包むとなんとも言えない夢のような心地がする。顔をうずめれば天にも昇る心地。
時々深海で、目を見張るような姿の生物が撮影されたとか言って、映像を見せてもらえるときがある。ライトを当てるからこそ認識できる美しい色をしていたり、天女の羽衣のようであったり。真っ暗な深海でそんな形や色をして、それが彼ら自身が生きるためになにか役に立っているとも思えない。人間が見に来るのを待っているのか。
人間の目を楽しませてくれるためにあらゆる形や色があるような気すらしてしまう。