いま、なにを、感じている?
無縁だったものが、私の世界の一部になった
この衣服に出会ったのは、
父が大切にしていたぼろぼろの「褞袍(どてら)」の存在がきっかけだった。
長い年月、着られ、繕われ、着てはまた繕われてきた、
ただの「ぼろ」ではないその存在感が
ずっと心のなかに引っかかっていた、それ。
それはまるで、タンスの奥に引っかかったまま、
もう気にならない、そう思おうとしてきたのに、
いつでも、そこから一歩も動かない……
まさに、わたしにとっての「親たち」みたいな、
一筋縄では行かない存在だった。
「やっぱりリアルに着られるものが欲しい‥」
そんなアンテナを立てているうち、
メルカリでこの衣服を見つけた。
着るために作られ、傷んでも、大切に繕われ着られつづけた衣服。
それを今、
この現代的なスタイルで纏うことができる喜び!
どんなに古くても、
どれほど時間が経っても、
それは「今」に生きている。
この羽織ものは、あの褞袍(どてら)と出会わなければ、
私の目にはきっと止まらなかっただろう。
もしかしたら、
あなたの周りにあって、フィットしないものも、
いつかの未来で意味を持つ日が来るかもしれない。
この羽織ものに出会い、身に纏ったとき、
わたしは、身に染みて、それを感じていた。
半纏(はんてん)
年代不詳の古いもの・リメイク品