音楽 / music
小学校の合唱部に入って人前で歌うようになってから、いつの間にか何十年も経っていました。音楽との関わり始めはクラシックからでしたが、気がつけば、遊びとしても仕事としても、ほんとうに様々なタイプの音楽と関わってきました。
十代の終わりにバンド活動を始めて、合唱で歌うのとは違う感覚に出会いました。歌うことが鬱積した心を幾らかでも安らかにしてくれていたように思います。お客様に自分の歌を聴いていただけることは、一人で気ままに歌ったり、リハや練習で歌ったいすること以上に心が安らぎました。そうやって歌うことが、まるで生きるための呼吸のようなものになっていたんだと思います。
三十代になって、ゴスペルのお仕事をしていた或る日、歌や音楽というのは、自分の心にあるものを載せるためだけのものではないんだ、という閃きに襲われました。何しろ、それまでは自分の想いや心をどれだけリアルに載せられるか、というところにフォーカスが当たっていたので、自分には新しすぎる発想でした。
同時に、その頃からそれまで進んで聴くことのなかったジャンルの音楽にも触れるようになっていました。インストゥルメンタルとか、ジャズの味付けのされた音楽とか、民族音楽とか・・
それからしばらくして、歌詞とメロディが聞えてくるようになりました。それまではやろうとしてもできなかったことだったことが。それはまるで、生きものが生まれるような生まれ方をします。安産のものもあれば、難産のものも、未熟児の子のような場合もあります。優しい子もいれば、キツい感じの子もいる。生まれてきた曲に対して、自分のものというより、もう一個の存在、生きものや一人の人間と同じ存在のような感じがしてしまいます。そうしていると、だんだんと、子どもを生めなかったことにそんなに引け目に感じることはないのだと感じるようになりました。
四十代半ばを過ぎ、気持ちも随分図太くなって来て、自分らしさのようなものを固持するのも面倒になったのでしょうか。音楽だけが私の表現手段ではないことに気付きました。突然、字や言葉を自由に描く「書描」ということを始めたりもし、空間全体を演出するということのおもしろさにも気づいてしまいましたが、それでも、音楽は自分の基礎として取り組んで来ましたし、これからも新たに挑戦していければと思っています。
ヴォイスアートパフォーマンス
織絵 - orie -
私一人の声を以って、半ば発作的に歌声や声や音などを発しながら、一つの世界を生み出していきます。
その世界の中心に存在するのでなく、その世界に添うようであったり、包むようであったり、融けこんでいるようであったりしたいと思いながら声を自在に発していきます。
声のみ、また、機械と電気の力も借りつつ、私自身も歌い手であると同時に、聞き手でありながら..
ボーカル + ギターユニット
kiRie - キリエ -
長らく愛していただき、ありがとうございました。
2019年より暫くお休みを頂くことになりました。
再開の折にはまた新たな我々を提示できることと思います。
2015/12/12開催の音浴live@floatにて
photo by narutomo
kiRie プロフィール
声:織絵 ギター:桐山 博貴
2012年秋より、kiRieとして演奏をはじめる。
2015年より森林浴するように浴びるように音楽に触れる【音浴】と銘打ったライブを古民家や多目的スペースで開催している。
【音浴】では、受け取る側と演奏する側の境い目もそれぞれの振る舞いも限定的でない。「これはこういうもの」という枠から自由になる機会と捉えている。写真家の撮影や木草花の生け込み、書作品など異種の芸術家とコラボレートすることもある。
kiRieの音楽は、機で布を織るように紡ぎ上げたオリジナル曲とkiRieならではの解釈の東西の名曲で構成される。ダイナミックなコントラストと陰翳に富んだ声の表現と創意豊かで透明感あるギターサウンドが合一して、一曲一曲が別々の個性をもった映像作品を彷彿とさせる。
言葉では表しきれないダイナミズム溢れるサウンドを「音浴」でぜひ体感してみてほしい。
2015年、水彩画家とのコラボレーションCD「onkei」をリリース。
2017年11月13日の音浴にてのショット。
写真家の撮影する行為そのものとそのシャッター音、生の音楽、古民家空間とそこに集うすべての人の反応の妙のなかでとても極まった精神状態を体験した。
2015年春の初開催の音浴にて。
私の書、花作家の即興生け込みパフォーマンスと共に。
音浴とは。
kiRieの【音浴】は、森林浴をするように音楽に触れる機会です。
或る日、ライブやコンサートで歌う自分にいつもどこか異和感を感じていたことに気がつきました。ライブやコンサートといった言葉から連想される音楽会のありように私自身が捕らわれていたことに気がつきました。周りの目が気になっていた私には怖いことではありましたが、捕らわれからいつも自由になりたいと思っていました。違和感を払拭したいという強い想いが勝ったとき、「音浴」という言葉が浮かんできました。
「音浴」という言葉はたいして目新しい言葉ではないようですが、kiRIeの 【音浴】 では、舞台と客席の境い目を敢えて曖昧にします。参加される方は、どこにいてもよく、寝転んでもよく、動き回ってもよく、音楽会に常である拍手についても自由です。「あるべき振る舞い」というものも要求されません。まるで自然の中にいるように寛いでいただける機会でありたいと考えています。服装も自由ですので、心地よく寛げる格好でご参加いただければと思います。
【音浴】 に会場に足を踏み入れた時から、「これはこういうもの」「こうあるべき」という考えを一旦、脇においてみます。周りのことをほんの少し思い遣りながら、自分自身の感覚や気持ちを中心においてみる・・・それだけで全体にふしぎな調和が生まれてきます。
自然現象のように、穏やかであったり、激しくあったり、寂しげであったり、楽しげであったり、様々な顔の音楽をkiRieは演奏します。 そんな音を浴びながら、「なんだかいつもと違う‥」そんな自分と出逢っていただけたら嬉しいです。
CDのご案内。
kiRieの【音浴】がCDになりました。
一曲一曲に一枚づつ描きおろされた絵画と詩が一体となった小さな画集とも言える小冊子がついています。
昼間窓を開け放してちょっと大きめの音で聴いてみたり、ヘッドフォンで聴いてみたり、
ドライブのお供にいかがでしょうか?
ご注文は、orientalsmiles2010@yahoo.c
送料無料でお送りさせて頂きます。
'' onkei ''
音楽 : kiRie
絵画・アートワーク: 三沢 名保美
サウンドエンジニア : 伊藤 英彦
【音浴】CD "onkei"の絵画について。
三沢名保美氏の水彩画は、透明で、濃い。
私がそれまでに親しんでいた水彩画とまったく趣きが違います。
いわゆる立体感や3Dとは一線を画する奥行きを感じさせます。
彼女の幅広い才能と努力と、幾多の深い体験から来るものなのでしょう。
三沢名保美氏は、水彩画家であり、グラフィックデザイナーでもあり、友禅作家でもあります。"onkei"には、描き下ろしの5枚の水彩画をご覧いただけます。アートワークも全て三沢名保美氏によるものです。制作のプロセスの中で、大先輩であり心の大親友である三沢氏と幾度となくやり取りをさせていただくことができ、手放したり思い切ったりすることが非常に多くあり、深い学びを頂きました。
三沢名保美氏のウェブサイトはこちら。